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コラム

GUILTY GEAR Xrd -SIGN-から考える3Dによるアニメ表現の未来と絵描きの未来

投稿日:2014年12月6日 更新日:

GUILTY GEAR Xrd -SIGN

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PS3/PS4ソフトとして発売された「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イクザードサイン)」は、アニメと見まごう事必須の3Dグラフィックが売りの対戦格闘ゲームです。どんだけアニメっぽいの? というのは説明するより動画で確認していただけたらと思います。

これが3D!! グリグリ動いていますね。やあ、3Dもここまできましたか・・・と思うのと同時に、これからどんどん3D技術が発展していくとイラストや漫画も3Dに取って変わられるのかも・・・とか、もうこのままアニメにしないのかとか考えてしまいますよね。素人とは言えお絵かき練習をしている私としても、これは気になります。

西川善司の「試験に出るゲームグラフィックス」(1)「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」で実現された「アニメにしか見えないリアルタイム3Dグラフィックス」の秘密,前編 – 4Gamer.net

西川善司の「試験に出るゲームグラフィックス」(2)「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」で実現された「アニメにしか見えないリアルタイム3Dグラフィックス」の秘密,後編 – 4Gamer.net

というわけでどのようにしてそのグラフィックが実現しているのか、詳しいインタビュー&解説がこちらにあります。3Dやゲーム関係の用語がバシバシっと出てくるのですが、ニュアンスだけ拾い上げても色々な工夫を凝らしているのがわかります。

「アニメ的表現」は可能でも「アニメ表現」はかなり大変

3Dキャラクターをアニメのように表現するのはこれまでにもたくさんありました。影のでき方をくっきりさせて、肌の表面のグラデーションを出さないようにします。実際そのような表現をした3DCGアニメやゲームはこれまでにも多数出ています。MMORPGでもありますよね。しかし、それはあくまで「アニメ的表現」。この「GUILTY GEAR Xrd -SIGN-」はまさに「アニメ」です。この違いはどこに。

それはやはり、漫画、アニメ特有の表現方法にあるかと思います。この注に舞い上がる薬莢!! アニメとかでは「オバケ」とかいう表現方法みたいですね。回転方向のベクトルにあわせてフォルムが変形しています。

数瞬後には影のでき方がちょっと崩れてたりするのはやっぱり3Dだなと思うわけですよ。

あとはこういうカットとか。これは右手の部分がかなり大きくなっています。「嘘パース」ってやつですね。レンズの違いやパースを考慮しても本当だったらこんなに大きくなりません。迫力を出すためにつく「嘘」なわけですね。こういった随所にある工夫や手間がこの表現を可能にしているのでしょう。

とはいえ、今後こういった手法が主流となり、アニメや漫画が3Dに置き換えられていくのか? と言われるとそれはちょっと違うのかなとも思います。例えば技を出すことによって髪の毛が変形して敵を攻撃するキャラクターが居るのですが、そのキャラクターは髪だけの造形別にいくつも髪のモデルを持っています。

こんな感じらしいです。建物に関しても「そのアングルでそれらしく見えるように」大きく湾曲していたり、背景は一枚絵であとは何も無い空間などなど。一つのシーンを作り出すだけでもかなりの苦労があるのが伺えます。3Dのモデリングにどれだけの時間が必要なのかは素人なのでよくわかりませんが、最終的な「絵」にするまでかなりの時間が必要なのはなんとなくわかります。

アニメーションにしても、モーションキャプチャーだけではどうにもならないアクションやポーズというのはあるでしょうし、そこを手でやるのはかなりの労力があることが予想されます。

アニメや漫画というのは描き手によって表現がかなり変わる媒体なのは間違いないでしょう。3D技術が発展していったとしてもこの根底部分は変わらず、大本となる描き手の表現に左右されるのは間違いなく、両方がうまく共存していくんじゃないのかなあと素人ながらにおもったりします。

今後、3DCGがどんどん手軽になり、紙に鉛筆で絵を書くような敷居の低さでモデリングでき、数手順で違和感ないアニメーションを構築でき、プログラミングの知識なくライティングやカメラや粒子の制御ができればあるいわ、という感じでしょうか。その頃にはアニメはアニメでまた別の進化をしているような気がしますね。

未来を感じずにはいられないこのアニメ感

とはいえ、このアニメ感は素晴らしいです。

とくにこのシーン。フィニッシュ技? の特別アニメシーンなんだと思うのですが、この女の子の動きが本当にいいです。

 各キャラクターの動きは,セルアニメ的でダイナミックな表現ができるように,独特な制御を行っています。一般的な3Dゲームグラフィックスとは異なり,GUILTY GEAR Xrd -SIGN-のキャラクター達は,顔面上の目と鼻,そして口が“大移動”しますし,現実の人間ではあり得ないような部位が伸縮したり肥大化したり,逆に縮小したりるすことも起こります

インタビューにある「大移動」がこれを見るとよくわかります。

どうですこれ!! もうアニメでしょう!! 角度によって目の位置、そしてなんといっても口の位置が移動しているのがわかります。特に三枚目などは頬がかなり前へ出ている感じですね。やあ、これはスゴイ。

一枚目の画像を絵で正面から表すと多分こんな感じです。左目自体が左にずれ、頬が若干盛り上がり、口もずれています。これが三枚目になるとどうなるかっていうと、

多分こうなってるんじゃないかなと思います。盛り上がる表現ができなかったので横に引っ張りましたが、おそらく山のようにみょいーんってなってるかとw

口も盛大にずれていると思います。四枚目などは奥にいる男性も合わせて口がずれているのがわかりますよね。いやあ、スゴイ。インタビューにもありますが、一枚一枚きちんと見えるようにそれぞれのパーツの位置を調整しているんだそうです。もはや職人芸ですね。ぜひともこのシーンの顔正面の動き動画なんてのがあれば見たいものです。

また、このように一つ一つの部位がズレる事によって、その動きがさらにまたアニメっぽく感じるのでしょう。人の手で描いたような独特の違和感を覚えます。人間の目がわりといい加減なのは「嘘パース」からも分かる通り、これだけズレていてもきちんと認知できるものなのですね。再認識できました。

攻撃を受ける側のモーションやパーツ位置はおそらくどのキャラも一緒のようで、確認するとこの女の子が同じ攻撃を受けた場合はやっぱりここまで頬は動いていませんでした。さすがに全キャラのやられモーションまで手間暇かけるわけにもいきませんから当然ですが、こういう比較もまた面白いです。

お絵かき技術とは直接関係はないかもしれませんが、これどうなってんの? っていう所の裏側を除くのはとても楽しいものですね。

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